President column社長コラム
社長ブログ 研究開発と事業のモノの価値
研究開発と事業のモノの価値
皆さんこんにちは。豊田周平です。先日、ノーベル賞の授賞式が行われましたが、素晴らしい研究があると、その後には必ず“事業化”にかかる時間とコストが問題に上がります。
研究開発から事業化までに時間とお金がかかるのは当たり前。それを世の中の理解がないとか云々言うのは筋違いだと私は考えています。そもそも、研究では1,000回実験して1回のトップデータが結果になりますが、もの作りでは1000個作って1個でも不良品が出ればアウト。ある意味最悪値が仕様になります。つまり、研究結果と事業化では全く違う価値観を持っているのです。
研究開発と同じ位の時間とお金が必要な事業化
研究開発が終わったからと、すぐに事業化が進む訳ではありません。だから事業化までしようと思うと、研究開発費と同じく試作開発費とか商品開発費が必要となります。そのことを企業が把握していなければ結局途中で資金が無くなって断念したり、事業化が見えても販売価格が高額になって、事業化に難色を示すことが多々あります。本当に商品に価値があれば、それなりに高額でも求める人がいるのかと。単純に言うと売上は値段×個数。
今年、私がアメリカからサンプル輸入した商品をプレゼンしたところ、皆さんおもしろいと言ってくれましたが、口を揃えて
「安かったら絶対に売れる」
と言われました。でも、安かったら売れるってどの商品でも言える当たり前のコトですよね?そんなことしたら誰も利益がでないし、開発費も回収できない。ええもんを安く売ったら幸せになるの買う人だけ。それを繰り返して疲弊した業界を、私はいくつも知っています。
10万円×1000台で一億円、1万円×1万台でも一億円。シンプルに言うと売上は同じ。そりゃ安くすれば売るのは簡単。それよりまずは本当に価値のわかる人、必要としている人に価値に見合う金額を出してもらうことが先なのではないかと。そうすれば、研究から事業化に見合うコストを国や企業が惜しまなくなるハズです。
製品と商品の違い
私の独断かと思いますが、
・製品はある機能を実現できるもの
・商品は使う人のことを考えて「売ることができる」もの
だと考えています。つまり、製品と商品を開発する人の作業は全く別。それなのに大学や公的研究機関の人たちが、事業仕分け以降「事業化を目指して」と言われますが、研究開発と商品開発=事業化を一緒に考えろ・・・というのに違和感を感じていました。
理想的には分業できるのが一番。もちろん基礎研究も同様です。