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社長ブログ 科学ネタのあれこれ~その1「宝石の科学」
社長ブログ 科学ネタのあれこれ~その1「宝石の科学」
こんにちは、豊田周平です。科学オタクである私からの科学ネタをシリーズに分けてあれこれお話させてください。今回は宝石の科学についてです。
私は宝石(=自然が作った単結晶、単結晶っていうのは原子が規則的にひたすらきれいに並んだもの)が大好きです。子供のころに塩(NaCl)やミョウバンなどの結晶を作った経験のある方もいるのではないでしょうか。
<ルビー>
ルビーは酸化アルミニウムの単結晶で、サファイアと同じなんです。世界で最初にできたレーザーはルビーレーザーで、今もサファイアに少量の添加物を入れたいろいろなレーザーが使われてます。
酸化アルミニウムの粉は研磨剤として利用されます。さらに焼き固めたセラミックスは半導体のパッケージ(半導体がのっている基板)や、硬いのでセラミックス包丁とかにも使われています。
<ダイヤモンド>
ダイヤモンドは構成元素の炭素(C)です。実は大学ではダイヤモンドを作りたくて学科を選びました。当時は大きなダイヤモンドはできませんでしたが、同級生が企業で研究を続けて実用化レベルのものを開発しています。
<水晶>
水晶(クオーツ、SiO2の単結晶)も古くはクオーツ時計に。そして多くの電子機器にも使われています。
単結晶はどのように作られる?
ちなみに、原子をどうやってきれいに並べるのかご存知でしょうか。
・固体を融かしてゆっくりと固める
・気体を降り積もらせる
・液体に固体を溶かしてゆっくり固める(析出させる)
(小学校とかでやった塩やミョウバンの単結晶はこれです。)
宝石も自然と同じことをやれば作ることができます。
ジルコン(ZrO2)、サファイア、ルビー、ガーネット、キャッツアイなどは人工的に作られたものが宝石として流通しています。
自然界の宝石として使われている単結晶には、ダイヤモンド(炭素C)、サファイア・ルビー(酸化アルミニウム(Al2O3))、エメラルド(Be3Al2Si6O18)、ガーネット(X3Y2(SiO4)3)、アメジスト(紫水晶)などが主なものです。
微量に入っている不純物によって色が変化し、人工単結晶にはない貴重性が生まれます。
今や大きな産業となっている半導体はケイ素(Si、シリコン)、ガリウム砒素(GaAs)、青色LEDや青色半導体レーザーは窒化ガリウム(GaN)など我々の生活に欠かせない材料となっています。これらすべては単結晶でそれを基板にして様々な加工がされています。
また固体レーザーと呼ばれているものには、ルビーレーザーや多くの分野で使われているYAGレーザー(イットリウムアルミニウムガーネットでGはガーネット)があります。
皆さんもお持ちの宝石が何からできているのか調べてみては?
米国ワシントンにあるスミソニアン国立自然史博物館の宝石のところは見応えがあります。ホープダイヤモンドなど名前のついたとんでもなく大きな宝石が展示されています。私も何度か行って堪能しました。
よければこちらもご覧ください。
https://naturalhistory.si.edu/exhibits/janet-annenberg-hooker-hall-geology-gems-and-minerals
宝石には単結晶ではないものも多くありますが、それらは別の機会にまたお話します!