President column社長コラム
社長ブログ 5年後、10年後の技術者
5年後、10年後の技術者
皆さんこんにちは、豊田周平です。先日のとある記事で「5年後に最も足りなくなる技術者は機械工学」という記事を見ました。
どうやら企業が機械工学の募集を増やしているから、今後足りなくなる、という話です。
よくこういった話を見かけますが、本当にそうなのか疑問に思ってしまいました。
まずは自分の興味のある分野を見つける
学生さんの志望人気は『今』話題になっている分野が多いのかと。そんな『今』の成果は先人たちが築き上げたものなので、次にどんな分野が来るのかなんて誰にも予想できないし、基本的に自分が興味のある、やりたい分野に行けばいいと思います。
人気の分野を目指すと言うのは、その分野を大学で勉強することになり、さらにその分野で研究できる企業に就職を希望するということになります。
人気の分野が自分の好き、興味のある分野ならいいのですが、そうではないとずっとやっていくのは難しいのかと。
本当に大切なのは、自分が好き、興味のある分野が何かを見つけられるかどうか、そしてその分野でやっていけるかどうかです。
私が専攻したのが物性物理と言う「モノを対象とした物理学」で今から思うとめちゃくちゃ潰しが効くと言うか、何でも来いという分野でした。
所謂物理だと理論物理、素粒子物理とか現実世界とは少し違ったところ。
私が学んだのは超高圧、極低温、金属物性、結晶、非晶質、半導体物理と理論は統計熱力学とか量子物理で、ある意味モノに関することなら何でも来いで、結果良かったのかと。何人かの同級生も同じことを言ってます。
当時の工学部の応用物理はもっと工学的なところで、本当にちょうど良かった感じが。
人気に左右されない
大学で学ぶのはその分野の基礎の基礎と研究のやり方(問題、課題を見つけてどう解決するのか)です。なので、「人気」「話題」とかだけで決めてしまうと、そのあと続けることが難しくなっていくのかと。
もう10年くらい前になりますが、バイオテクノロジーが話題になって多くの学生さんが生物工学とか農業系へ殺到したことがありました。
まわりの人からも「子供が受験なんだけど・・・」と相談を受けたことがありましたが、「興味の持てるところへ行くのがいいよ。」という話もさせていただきました。
また、以前私のブログでも紹介した、STEAMの話も。アメリカでは多くの人がMBAを取っていましたが、それがバブル、金融危機を招いたことの反省で、デザイン、芸術系の大学が人気となっています。その頃のデザイン系を出た人たちが今多くの分野で活躍しています。
最近だとAI系が人気なのかもしれませんが、5年後、10年後「この仕事はなくなる」とはあまり不安に思わず、そして大人もあまり不安視せずに自分の好きな分野をまずは勉強していってほしいな、と思います。