President column社長コラム
社長ブログ 技術流出は昔からある
技術流出は昔からある
皆さんこんにちは。豊田周平です。最近、外資の家電メーカー買収で技術流出とか話題になっていますが、理想論だけど、どうにかしたかったという気持ちがありました。
食べるためには仕方なし、待遇がよければ海外の引き抜きを断る理由はありません。
冗談ネタではありますが、十年ほど前の同窓会でA君は某半導体メーカーの品質保証部長、B君は大手エレクトロニクスメーカーの事業本部長で中国も、私は少し中国ビジネスを少しやってた時にB君が「おい、豊田!A君を中国に売って3人で山分けしたら一生遊んで暮らせるで!」って話に。冗談とは言え、当時のキーな技術の相場ならそれぐらいになりますし、そんな話なんて当たり前にありました。今になって問題視されていますが、技術流出なんか昔からある当たり前の事なんです。
完全に止める事は不可能
多くの家電メーカー、半導体メーカー、電子部品メーカー、自動車メーカー、自動車部品メーカーの技術者が週末に韓国や台湾へ行ってバイトをしてたこと知ってますか?
某国には日本と全く同じレイアウトの工場のあるそうで、これは工場を作った業者さんとか設備を入れた業者さんが仕事を受けてそうなったのかと。メーカーが安くで設備入れさせてるので、設備屋さんとかも開発投資を回収するためには海外へも売る必要があったのかと。
産業再生機構下の倒産した半導体メーカーの社長が、中国に会社を立ち上げるプロジェクトを主導するというニュースもあったりと、技術流出の原因はいろいろありますが、もう時既に遅し。完全に止められる事はできません。
技術者の待遇を考え直す必要
技術の流出を考える上で、最も見直してほしいのがメーカーの技術者に対する待遇です。要求される事はキツイく、いい評価を受けられない・・・となったら、技術者の方は海外で売らないとやっていけない現状になるだけです。
以前のコラムでも書きましたが、日本は資源が無い国です。様々な原材料を輸入して、それを加工して(加工するためにも輸入した石油を使った電気が要ります。)付加価値を付けて輸出して外貨を稼がないと石油も食糧も買えないんです。
それなのに、付加価値を付けてくれる技術者や納入業者の待遇を悪くしていたら、いつか日本は破たんしてしまいます。
5年前、10年前のテレビや携帯のこと思い出してみて下さい。どれだけ進化しているのか。そしてどれだけ安くなっているのかを。スマホだって、毎年新しい機種が発売されて、薄く高性能になっていますが、簡単に開発出来る訳ありません。
電化製品は努力して開発した新技術でも、時間が経てば「安さ」を求められる世界です。食料品の値段が1/10になることなんてまず無いですよね。でも電子部品は時とともに1/10に成るんです。半導体素子もムーアの法則にある様に「集積回路上のトランジスタ数は「18か月(=1.5年)ごとに倍」になりますが、その値段の下がり方も劇的です。
技術の流出を嘆く前に、今頑張ってくれている技術者の努力に目を向けて、待遇の改善に繋がっていただければと思います。